今号から不定期ですが、奄美大島の新たな魅力を全国に広めるため「一般社団法人あまみ大島観光物産連盟」事務局長境田氏のご協力により地元ライターの方たちの独自取材記事をご寄稿いただくことになりました。今号は第一話を紹介いたします。
第一話は「奄美固有のドロ土から産まれた『大島紬』漆黒色の魔力」
ブラブラ歩きながら土地の歴史や文化、人の暮らしを探るNHKの番組が放送され、地元シマッチュ(島人)も知らなかったような、奄美大島の根幹とも言えるディープな文化・歴史・自然が紹介され、多くの発見がありました。
番組のナビゲーションを参考に、地元ライターが改めて奄美大島の地を巡り、奄美大島の自然とそれによってはぐくまれた奄美の宝についてご紹介していきます。
奄美大島を訪ねた方は、まず赤い土に驚きます。これは、多くの鉄分を含んだ古い土で赤黄色土(せきおうしょくど)と呼ばれる土です。
赤い色をしているのは、鉄分が空気に触れ、酸化したからなのですね。地質ファンらしいスタートです。
それでは最初の訪問先、龍郷町の戸口にある金井工芸に足を進めましょう。
奄美ならではの「泥染め」を見学
大島紬の染色の秘密を教えていただいた大島紬の匠 金井一人(かない かずひと)さん。
中央の写真パネルがどこかで見たことのある人で、何となく気になります・・・
「まず、島に自生するテーチ木(和名:シャリンバイ)という木をチップにして煮だします。すると茶褐色の赤い液になります。」
大きな釜の中で煮られた木のチップから赤茶色の液が出ています。
真っ白な煙が出ているのが釜です。すごく大きな釜ですね。
「その液に真っ白な絹糸を漬けて染めると、薄い茶色に染まります。これは28回、染めを繰り返したものです。」
28回も染めることで、こんなに濃くなるのですね。 色がついたのは、木の染料によるもので、中にはタンニン酸も含まれているそうです。
そして、外の泥田へ。
「先ほどの絹糸を、今度はこの泥田に入れます。まんべんなく刷り込むように染めていきます。そうしていると、ほらグレーの色になるでしょう?」
テーチ木のタンニン酸と泥田の泥に含まれる鉄分が反応してグレーになるのだそうです。
この工程を繰り返すと、大島紬の特徴である深いしっとりとした黒色ができます。
先人たちは、この化学反応をどうやって発見したのでしょう?不思議です。
では、何故ほかの場所では赤土なのにここは黒い泥なのかというと、泥田の一帯が湿地になっていて、それが蓋の役割をして酸素にふれることがなかったので、鉄分の黒いままの色が残っているのだそう。
地形が残した貴重な泥田なのですね。
自然の恵みを活用してできる大島紬の染色方法は、奄美の自然の恵みをいかした”宝”であることがわかりました。
さらに、驚くべきことが!長く泥田を使っていると、鉄分が少なくなっていきます。
そんな時、島の人が泥田に入れるのがソテツの葉。
学術的にはそのメカニズムはわかっていませんが、昔からそうやってきたのだそうです。
ソテツは、漢字で書くと蘇鉄。鉄が蘇(よみがえ)ると書きます。
島に生えているソテツで泥田をよみがえらせる。これも自然をいかした方法ですね。
私もそうでしたが、きっと皆さんも、実際に体験すると感動すると思います。
金井工芸さんでは、染物体験を行なっています。あなたも自分の洋服や布地を持って行って、奄美の自然の材料で染めてみませんか?
それではここで、「古代染色工房 金井工芸」さんの紹介をいたします。
金井工芸について
本場奄美大島紬の泥染めを担う金井工芸では古来より奄美に伝わる伝統技法泥染めをはじめ天然染色を行い、豊かな自然を染めを通じて色と先人の知恵を共有していきます。 工房ではテーチ木を採取し染料を作る事から始まり、大島紬の糸や絣から様々な分野からのニーズに応える天然染色を行っています。
奄美泥染めについて
奈良東大寺や正倉院の献物帳に「南島から褐色紬が献上された」との記録が残されています。 それが奈良朝(710~784年)の頃、約1300年ほど前になります。 そんな起源がある本場奄美大島紬は分担業で製織され、糸、絣染めを行う工程として泥染めを行います。 奄美大島に自生する車輪梅(方言:テーチ木)を煮出した染料(タンニン酸)と 亜熱帯気候、150万年前の古代地層などの影響で鉄分豊富な泥田で染め上げる手法です。
白い糸がこんな風に染まります。
様々に美しい自然色に仕上がります。
南国のカラフルな色に染まりました。皆さんも奄美大島に来て体験してみて下さい
大島紬を見て知って、着装体験!
大島紬資料館外観
金井工芸を出て、さらに北へと進みます。
ここは、奄美市笠利町土浜にあるリゾートホテル ティダムーンさんの大島紬資料館です。
リゾートホテルですが、大島紬の製造販売も手がけているため、敷地内に大島紬資料館と大島紬展示場があります。
ここ大島紬資料館は、入場料500円で大島紬の製造工程の学習や、古い時代の大島紬や芭蕉布の見学、そしてなんと大島紬の糸で紬織体験までできるお得なスポットなのです。
美しい大島紬をいくつか見た後、反物をクリップで留めながら着物に仕立てたようになる「着装」の体験をしてみました。
ティダムーンさんでは、事前に申し込みをすると、この着姿体験が無料で可能です。
今回は、チーフ・マネージャーの星加 麗子(ほしか れいこ)さんに着装を行なっていただき、私も挑戦してみました!
やはり大島紬は軽いです(わずか450g)。
仕立てたときの柄の出方がわかって、この体験は実際に着物を選ぶときにはいい方法ですね。
帯や帯しめなどの色合わせもできます。
せっかくと言うことで、同行のカメラマン(男性)も着装体験。
反物で見たときと実際に着たイメージが違って、感動!
思わず二人で「欲しい・・・。」と。
こちらは、奄美大島だけでなく鹿児島や都城の産地の大島紬も豊富にそろえていて、産地価格で購入することもできます。
自然をいかした奄美の”宝”とは、テーチ木、泥田、ソテツという奄美にあるものをうまく使って作った大島紬だったのですね。
今回の旅、あらためて地元の奄美大島紬がますます好きになる旅でした。
今回取材した場所
◆ 金井工芸
鹿児島県大島郡龍郷町戸口2205-1
TEL:0997-62-3428
◆ 奄美リゾートホテル ティダムーン
大島紬資料館
鹿児島県奄美市笠利町平1259−3
TEL:0997-63-0006
★ 参考図書
「ブラタモリ 12 別府 神戸 奄美」
監修NHK「ブラタモリ」制作班 株式会社KADOKAWA 2017/12発行
交通アクセス
大島海峡
峰田山展望台(峰田山公園)
水中観光船せと
宇検村の集落の心癒される眺め
屋鈍集落の美しい砂浜
交通アクセス(飛行機、フェリー)
新路線の開設について ~「鹿児島-名古屋(中部)線」「鹿児島-奄美大島線」就航~ スカイマーク株式会社は、2018 年 8 月 1 日(水)~10 月 27 日(土)期間の運航ダイヤについて、計画の概要を以下にお知らせいたします。(2018年4月25日 発表)
2018 年 8 月 1 日就航「鹿児島-名古屋(中部)線」「鹿児島-奄美大島線」を開設
2018 年 8 月 1 日(水)より、新路線「鹿児島-名古屋(中部)線」「鹿児島-奄美大島線」の 2路線をそれぞれ1 日 2 往復 4 便にて就航することを決定。
鹿児島と中部地方、奄美大島を結ぶアクセスをご提供することにより、お客様の利便性向上に資するとともに、新たな需要喚起を図りたいとの考え。
【運航ダイヤ:2018 年 8 月 1 日~10 月 27 日期間】
この度の新路線就航にあわせて、上記路線にキャンペーン運賃を設定する予定とのこと、 スカイマーク公式ホームページにて発表。
それぞれにお尋ねください!
フェリーをご利用の場合 ※毎日運航
寄稿文
勝 朝子 氏
Webクリエイター、ITサポーター、奄美大島紬のポケットチーフ「フィックスポン奄美」代表。東京出身。縁あって奄美大島出身の夫と結婚。以来毎年奄美大島を訪れ、2012年奄美大島に移住。奄美の自然、人、文化、食べ物が大好きで、島の隅々まで日々探検中!
協力
(一社)あまみ大島観光物産連盟
〒894-0027鹿児島県奄美市名瀬末広町14-10 AiAiひろば1階 営業時間:9:00 ~ 18:00
TEL:0997-53-3240
鎹八咫烏 meister@chic.ocn.ne.jp
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